星明かりと消灯【裏5】

男は王都を飛び出し、隣町へと逃げ込む。

そこは男が先程目撃した『死』が嘘であったかのように人々で賑わい、活気付いていた。

どうやらこの町でも宴は開かれているらしく、酒樽を抱えて騒ぎ立てる男たちやリズムに合わせて刻みよく踊る子供たち、それらを眺めながら談笑する婦人らがいたりと彩り鮮やかな喧騒を生み出し続けている。

さっきのは悪い幻覚であったのだろうか。

男にそう思わせるほどに、町は明るく楽しげであった。

「姫さまー!結婚おめでとうございまーす!!」

町人の一人が、大声でそう叫ぶまでは。

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