星明かりと消灯【裏3】
魔王が倒れた。
それはこの世界自体が望むハッピーエンドであり、無事に帰還したお姫様と勇者のために国をあげての大々的な宴が行われるほどのものであった。
男も酒を片手に参加する。
彼はこの宴の盛り上がりが頂点にまで達した頃に花火が上がり、サプライズとしてお姫様と勇者が婚約発表する事を知っていた。
『この時の国民の驚いた顔を、私は生涯忘れないでしょう。』
男はとても繊細に、美しく描かれた文面を今度は肉眼で捉えようと考えて心を踊らせていた。
彼の目が、打ち上がっていく花火の悠々とした茜色の線を反射する。
念のため、男は集まった民衆たちによる歓喜の大声に備えて、両耳に手のひらをそっと被せていた。
しかし男の期待とは裏腹に、いつまでたっても花火の独特の破裂音が鳴り響くことはなかった。
どうしたことかと視線を空から外して下ろし、
男は絶叫する。
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