stage15.変質
その日の夜、我が家に帰った
「今帰ったぞ
「お帰りなさいパパ」
有夢留は足早に父親を出迎える。
「ふふふ……寂しかったか?」
「うんパパ……早くパパに会いたくて堪らなかった……」
滝沢の首に腕を絡ませる有夢留。
こうでもしないと後々痛い目に遭う為、わざわざ有夢留は父親の機嫌を損ねないよう、毎日顔色を窺いながら父親好みの少年を演じなければならなかった。
「フン……そうか」
滝沢はその一言だけを唐突に素っ気なく言い放つと、TVの前に行って一枚のDVDをプレイヤーに挿し入れると、自動的に電源が入る。
TV画面に映し出されたのは、おぞましいまでの変態プレイだった。
有夢留は今日の父親がいつもよりどこか素っ気なく感じたが、大概彼が観る動画の内容が分かれば、父親の気分や考えていることが読めていた。
今回の動画の内容は、超ハードSMのホモ動画だった。
全裸姿の受身の男が鈎針の付いている6本に分かれた鞭で、背中を叩かれ血塗れになりながら悶えており、両腕を鎖で縛られ立たされている。
それ以外の事でも攻められていたが、それはとても安易に表現できるような描写とは言えなかった。
少なくとも、一般人なら誰もが普通、目を背けたくなる。
有夢留はふと嫌な感じがした。
滝沢が浮かべている表情には、勝ち誇ったような不敵な笑みが滲み出ている。
「何だか今日のパパはご機嫌だね。何かいいことでもあったの……?」
有夢留は父親の征二に甘えながら、それとなく何かを聞き出そうと試みる。
息子の言葉に、征二は不気味に笑う。
「ククク……ようやく私が狙っていた獲物が手に入りそうでな……」
「獲物って……パパが前から口にしていた
「ああそうだとも。今日はあいつから私の方へ寄って来た……」
征二は言ってリビングのソファーから立ち上がると、自分の部屋へと向かった。
その後を付いていく有夢留。
征二はデスクチェアにドサリと腰を下ろすと、パソコンを触り始めた。
するとパソコン画面には、自分が手がけた映像が映し出され、その映像はデジカメで盗み撮りした久遠の姿だった。
しかもそれは動画になっており、頭だけが久遠で体は別のものを貼り付けて、それが酷く犯されながら最終的には血塗れになり、彼の首だけがホルマリン漬けにされるといった様子が、わずか30秒の間に亘っていた。
征二の後を追って背後からそれを観ていた有夢留は、背筋が冷たくなった。
一体いつの間にこんな動画を……!!
「どうだ有夢留。この日が来るのも近いぞ……こいつが仰け反りながら喘ぐその姿を思い浮かべるだけで、興奮してくるよ……最終的にはこいつの体で愉しむだけ愉しんだ後、その裸体を血で染め上げながらあの綺麗な顔の付いた頭だけを切り離して、私のコレクションとして保存するのだ……」
動画はパソコン画面の中で彼が語っている間、何度もリピートされている。
「外国から来た孤独な若者が姿を消したとて、誰も気付かず事件にもなるまい。幸い奴が仲良くしていた早川も妹を我々の仲間がさらってくれたおかげで、こいつから離れてくれたしな。響咲を気に掛ける邪魔な奴はいないと言うわけだ」
父親の言葉に、有夢留は耳を疑った。
まさかこれを計画する為に、パパは
「そして本人が自ら私の元へ……こんな好都合なことはない……」
「パパ!!」
思わず耐え切れなくなって、有夢留は父親の言葉を遮るように叫んだ。
その突然の大声に、征二は少し不機嫌さを覚えながら背後の息子をゆっくりと振り向きながら、睨みつける。
その表情と、咄嗟に出してしまった自分の声とに有夢留は動揺すると、それを父親に気付かれないようにそのまま、父親の首に抱きついた。
そして自分の心境を、征二に悟られないように言葉を口にする。
「イヤだよパパそんなの! パパには僕がいるじゃない!」
息子の発言に、少し機嫌を悪くしていた征二はふと、表情を緩ませた。
「どうした有夢留……」
「だってパパ、その男が好きになっちゃったんでしょ!? こんな男のどこがいいのさ! 僕の方がこんな男よりパパを悦ばせる事できるよ! パパは僕のものだよ!」
「ふふ……何だそんなことか……響咲に嫉妬してるんだな……?」
「うん……パパをこんな男に渡したくないもの……だって世界で一番誰よりも僕の方が、パパを愛してるから……」
そう有夢留は、征二の肩に乗せていた頭を持ち上げて父親を見つめると、目を潤ませて見せた。
これには
「フフ……何、そんなことはちゃぁんと分かっているさ有夢留……今夜はいつも以上にたっぷりと、可愛がってやるからな……」
征二は言うと、息子である有夢留に濃厚なキスをする。
有夢留は父親からの異常なキスを受け入れながら、思った。
こんな最低最悪な男に、響咲さんを穢させたりさせるものか……!
そしてそのまま有夢留は、征二の成すがままに抱かれるのだった。
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