第15話 終電
「上野まで行くわよ!」
望は、まだ治安がマシであろう上野まで行きたいと主張した。
「そのためには、さまよえる日暮里人レベル70を倒してくださいね。」
日暮里の駅娘がクエストを告げる。
「クソッ!? なんでも、さまよえると名前に付けると良い思っているんだから!?」
そろそろレベル99の望と差が縮小してきたので、望の戦いも過酷さを増してきた。
「皇帝斬り! 天皇斬り! 英語にしたら、どっちも、エンペラー・斬り!!!」
「ギャアアアー!?」
望は日暮里のクエストを突破した。
「急いでください! もうすぐ終電ですよ!」
「ありがとう! 駅娘!」
望たちは、日暮里の駅娘に感謝の別れを告げて、電車に乗って次の駅を目指す。
「いらっしゃいませ! 鶯谷へ!」
望たちは、14個目の駅、鶯谷に着いた。
「駅娘、ここの課題は、さまよえる鶯谷人レベル75を倒すでいいんだろう?」
「違います! 勝手に決めないでください!」
「え? 違うの?」
「さまよえる鶯谷人のレベルは90です!」
「おお!? インフレしてるな!?」
鶯谷の駅娘は、鶯谷人のレベルは、90だと告げる。
「僕に倒せるか? レベル90の鶯谷人!?」
望と敵の戦いは熾烈を極める、かに見えた。
「あれ? 望。アナタのレベルが100になっているわよ?」
「え?」
僕は自分のステータスを見た。なんと最大レベル99を突破して、いつの間にかレベルが100になっていた。
「駅娘!? このLAWS国家試験の最大レベルは99じゃないのかよ!?」
「レベル制限は、特にありません。ニコッ。」
駅娘は、笑って誤魔化すのだった。
「なんだとー!? ということは、無事に山手線を一周して渋谷にたどり着いても、渋谷のハチ公のレベルが1000とかで、絶対に勝てないとかいう、オチが待っているということか!?」
望は、最悪の場合を考える。
「どうでもいいですけど、鶯谷人に勝たないと、終電を乗り過ごしますよ?」
「それも困る!」
望は、目の前の最悪の場合に備えるために鶯谷人と戦う。
「た、た、倒したぜ、ガクッ。」
望と鶯谷人のレベル差は10しかないので、勝っても望は傷だらけである。
「良かったわね。終電でゆっくりと眠れるわね。」
望は終電に乗って上野に向かうのであった。
LAWS国家試験、開始から15時間経過の24時。望たちは、現在14個目の鶯谷駅を突破。残り時間は14時間で15個の駅を突破しなければいけない。
つづく。
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