第4話 LAWS国家試験

「セーフ! 間に合った!」

 望は、学校にギリギリ間に合った。慌てて教室に入り自分の席に座った。

「これも私のおかげだな。ワッハッハー!」

 目覚ましは、望のだらけた日常生活を監視し続けている。

「どこが。」

 人間は、AIの手助け無しでは生きていけないのであった。

「遅かったわね!!!」

「希!?」

 そこに一人の女生徒が現れる。彼女の名前は夢花希。望の幼馴染でクラスメイトである。

「目覚まし、もう少し早くに望さんを学校に連れてくることはできないの?」

「ええー!? 私の性ですか!?」

「あなたは、望さんのJRS何ですから、あなたがしっかりしないでどうするんですか!?」

 希のJRSのホープである。カワイイ女の子のAI搭載ぬいぐるみである。目覚ましと違って、かなり優秀である。望より希の方が人間として優秀というか、普通ということである。

「す、すいません。」

 目覚ましは、悪いのは自分ではなく、望だと思っている。

「望! そんなことで今日から行われるLAWS国家試験に合格できると思っているの!?」

「いいんだよ、別に。僕はゲームは得意だけど、勉強もできない。運動神経も人並み。こんな僕がLAWSの社員なれるはずがない。」

 望は、最初からLAWS国家試験を諦めていた。

「はい、みんな。席について。」

「ゲッ!? 先生だ。」

 そこに担任教師の伊集院先生がやってくる。もちろん伊集院とは、苺の苗字である。生徒たちは自分の席について大人しくする。

「今日からLAWS国家試験が始まります。それでは内容の説明をします。」

 いよいよ始まるLAWS国家試験。

「今回の試験の舞台は、東京JRの山手線です。山手線を1周できれば試験は合格です。」

「え? そんな簡単でいいの? そんなの電車に乗っていれば1時間もあれば合格じゃん。」

「安心しなさい。各駅ごとにモンスターかクエストがあるから、それをがんばってクリアしてね。」

 これがLAWS国家試験の内容である。 

「うんな、アホな。」

「まあ、ゲームと同じような感覚だから、気楽にやってね。」

「ゲームなら僕でも合格できるかもしれない。よし! LAWS国家試験! 見事に突破してやろうじゃないか!」

 望は、大好きなゲームと聞いて、LAWS国家試験に意欲的に取り組もうとするのだった。

「フッフッフ。」

 しかし、LAWS国家試験の正確な全容は、まだ望たち生徒には教えられていないのであった。なぜなら先生の苺が試験の正確な内容を知らないからだった。

 つづく。

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