第3話 3人の少女と封印

「封印?」

突然のことに戸惑ったシグマは、少女達の言ったその言葉をおもわずリピートしてしまう。

「そう、私達はこの祠に封印されていたのよ」

「封印って、何か悪いことでもしたのか?」

シグマがそう聞くと、彼女たちはそれぞれ目配せのようなことをした後、ゆっくりと首を横に降った。

「私達はね、魔王に封印されていたの」

「ま、魔王に!?」

魔王、それはシグマの最終討伐対象。

妹の仇をうつという絶対保守の目標を達成するための最終標的だ。

彼女たちはそんな魔王に封印されていたらしい。

「今は何年でしゅか?」

3人の中で1番小柄な少女がシグマに聞いた。

「えっと、2019年だったかな」

「2019年……300年前ね」

「え?300年?」

「そう、私達が封印されたのは1719年。第4次魔大戦の終戦日よ」

第4次魔大戦と言えば、魔王軍と人間軍とが激しくぶつかり合い、両軍に過去最大の被害が及んだと言われている最悪の戦争だ。

シグマも学校で習った記憶があり、それは理解していた。

「第4次魔大戦は、人間軍は一級魔導士を筆頭に戦ったはず。まさか、3人もその魔道士だったのか?」

「……いいえ、私達は魔道士ではないわ」

「じゃあ、3人は一体……」

「私たちの正体は、悪いけれど今は教えられない。ただ、目的はおそらくあなたと同じ。魔王を倒すことよ」

「な、なんでそれを……」

「あなたが祠にはめたメダル。それはね、かつて魔王を倒すために使われた魔導器アーティファクト。4番目の魔王を倒した際に力を使い果たし、今はほとんど使い物にならないけれどね」

「なんでそんなものを母さんが持ってたんだ……」

「あのメダル、あなたのお母さんが渡してくれたの?」

シグマがうなづくと、アンテナ少女は一瞬意味深な表情を見せた後、小さくうなづいて。

「あなた、名前は?」

「シグマだけど……」

「そう、シグマくん。あなたの旅に私達も付き合わさせて欲しいの」

アンテナ少女のその言葉に、シグマは一瞬混乱する。

しかし、魔王に封印されたその恨みを晴らすという目的があるであろう彼女らと、自分の目的は全く同じ。

その頼みを断る理由はなかった。

「ああ、いいとも。ひとりじゃ心細かったんだ、よろしく頼む」

「そう、よかった……。私達は必ず封印を解いてくれたあなたの役に立つことを誓うわ」

「期待してるぞ」


こうして旅を初めたシグマに、3人の少女という仲間が出来たのである。

その後シグマ達は、やたらと一本道の森に詳しい彼女らに導かれ、夜が明ける頃には最初の街、ハジーマの街に着くことが出来たのであった。

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