視肉 ⑥

 道士は肉を取り終え、部屋から出ていった。

 身体中にいまだ痺れるような感覚を味わいながら、「視肉」はそのがらんどうのような頭でぼんやりと考えていた。

 ――ああ、私はいつまで食われるだけの存在として生きていかなければならないのだろう。

 早くこの苦痛から逃れたい。誰でもいい。食らうならば、早く食らい尽くしてくれ。

 もっと美味くなれば、誰かが私の全てを食らってくれるのではないだろうか?

 ならば、私はもっと美味くなりたい。

 もっと美味く、もっと美味く、もっと美味く、もっと美味く、もっと美味く、もっと美味くもっと美味くもっと美味くもっと美味くもっと美味くもっと美味くもっと美味くもっと美味くもっと美味くもっと――


 人気の無い霊廟の一室。

 そこでは、静かに身を震わせる視肉が、うつろな目でじっと虚空を見つめていた。



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