第11話

 あたしは昨日、失恋した。

 全国で吉良君に会ったら、告白するつもりだった。

 自分の気持ちに正直になって、心の中身を全部話すつもりだったんだ。

吉良君はあたしよりすごいから、これ以上離されたらついていけなくなる。

 彼の隣に経つための自信が欲しかった。

 でもそれは最後の最後で手に入らず、あたしの高校バレーは終わりを迎えた。

 悲しさより寂しさの方が大きい。ずっと抱きしめていたものがフッと消えたような物寂しさを感じる。

 体に力が入らないし、頭も上手く回らない。

 ベッドの上でずっと丸まってるだけだ。でも大きいから子供の頃に買ったベッドじゃ丸まると足の先が出ちゃう。

 何度も何度も吉良君の笑顔が浮んだ。

 そのたびにあたしは枕に顔をうずめる。

 ごめんね。ごめんねと心の中でたくさん謝った。

 吉良君も、チームメイトも、応援してくれた親や関係者の人も、みんなに謝った。

 そして理解した。

 あたしには吉良君と一緒にいる資格はない。

 バレーを続けちゃだめだ。また、みんなをガッカリさせてしまう。

 だからもう吉良君と連絡を取るのも会うのもやめよう。でないとまた手を伸ばしてしまうから。

 手に入らないと分かってるのに、まだ手を伸ばすのは正直つらい。

 でも会えば求めてしまう。前なら恋をしてるってことにも気付いてなかったから大丈夫だったけど、今は絶対無理。

 とにかく全てから逃げたかった。

 お腹は減ってるけどなにも食べたくない。

 勉強もしたくないし、シャワーでさえも浴びたくない。

 なにもかも放り出して眠りたい。

 そしてその通り、あたしは寝た。

 ここ数年の疲れを癒すように寝まくった。

 学校も三日休んだ。

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