ちっちゃなヒーロー参上っ!

 「あ、あの…みづきけいとさんって人知りませんか?」

 「いやーごめんねわからないわ」

 「そうですか…ありがとうございました。」


 「あの…みづきけいとさんって人知りませんか?」

 「しらないね~」

 「そうですか…ありがとうございました。


 「すみません…みづきけいとさんって人知りませんか?」

 「うーん、聞いたことないな…」

 「そうですか…ありがとうございました」


昨日の出来事から三日後…蛍斗が助けた女の子が蛍斗を探そうと必死で訪ねていた


 「あぁ…見つからない…知ってる人すらいないなんて…名前だけ知ってても…顔

  がわからないから…意味ないのかな…でも、!諦めない!」



 「蛍斗~」

「なにー母さん?」

 「ちょっとお使い行ってきてくれない?」

「えええ…?」

 「どうせ、ごろごろしてるんでしょ?土曜日くらい、外でなさい」

「うーん、はーい、んで、なに買ってくればいいの?」

 「牛乳と、卵と、薄力粉、買ってきてー」

「はいよー、じゃあいってきまーす」

 「はーい、雨降ってるから気をつけてねー!」

うーわまじで雨降ってるじゃん…めんどくせー。まあ行くけど…



 「あの、すみません…みづきけいとさんって人知りませんか?」

 「さぁ~しらない…」

 「そ、そうですか…ありがとうございました。こんだけ探しても見つからない

  いったい誰なんだろ…みづきけいとさんって…」



 「あ、あのすみません…」

 「ん?どうしたんだい?君みたいな可愛い子が僕に話しかけてくるなんて?」

 「…っえ、あ、えっ~と、人探しをしてまして…」

 「人探し?誰を探してるんだい…?」

 「みづきけいとって人なんですけど…知りません?」

 「み、澪月蛍斗…!?だって…っく!憎い…、こんな女の子まで…たぶらかしや

  がって…許さない…澪月蛍斗だけは許さない…」


―――そう、女の子が話しかけた相手は世界一蛍斗を憎んでる男だった―――


 「えっ…?っと…みづきけいとさんを知ってるんですか…?」

 「ああぁ…嫌というほど知ってるぞ…」

 「ほんとうですか!!」

 「澪月蛍斗になにか用なのか?あいつとは関わらない方がいいぞ…こんな白くて

  ツルツルなお肌があんな奴と一緒に居たら…汚れちゃうよ?」

 「えぇ…、」

 「だからさ~ほら、あんな奴と居るよりぼ、僕と居たほうが楽しいよ~?だから

  ぼ、僕と遊ぼうよ~あんな奴ほっといてさ?」

 「えぇ…いや、あの…ちょ、ちょっと…」


 やっぱ…雨の日は家に居るのが一番だよなぁ…、早く買い物済ませて帰るか……

 …ん?あの後ろ姿は…、げぇっ!あの時、俺に殴りかかってきた……、


   「「「桃乃のストーカー野郎」」」


 「ん…?………うぎゃぁっ!!澪月蛍斗⁉なぜ貴様がここに!?」

「いや、買い物だよ…お前…次は小学生か…?」

「い、いや、ち、違うんだよ…こ、これはだな…」

 「あ、あの…みづきけいとさんですか…?」

「ん?あ!君はこの前倒れてた…大丈夫だったか?」

 「は、はい!!大丈夫でした!あの時はありがとうございました!!」

「いや、俺は当然のことをしただけだからお礼とか言わなくていいよ」

「えっ!?ふ、二人ともし、知り合い!?、じゃ、じゃあ僕はこの辺で…っ!!」


 桃乃のストーカーは去っていった…


「なんだったんだあいつ…」

 「あ、あの!今、お邪魔でしょうか…?」

「いや、全然大丈夫だよ?今からスーパーに行くところなんだよ、君も来る?」

「ついていきます!!」

「あと、タメ口じゃなくていいんだよ?」

「わ、わかった…みづきけいとさんの事なんて呼んだらいい?」

「別に何でもいいよ、自分が呼びたい名前で呼びな?」

 「ほんとっ?じゃあ!けいとお兄ちゃん!!」

け、けいとお兄ちゃん!?な、なんか照れるな…、でも嫌じゃないな…妹ができた

感じだな…

 「おう、じゃあ俺はなんて呼べばいいんだ?てか、君の名前知らないな…」

「あ、ごめんなさいっ!名前言ってなかった!」

 「おう」

 「ともこは『七五三供子(しめともこ)』っていうんだっ!!」

「ほう…じゃあ、供子だな…」

 「うん!けいとお兄ちゃんっ!!」


――そうこうしているうちにスーパーへと着いた――


 「けいとお兄ちゃん!」

 「ん?どうした?」

「ともこが着てるレインコートどうしよ…脱ぐ?」

「そうだな…構わないと思うが一応脱いどくか」

「うん!わかった!ちょっとまって!」

 「おう」

「脱いだ、レインコートどうしよう…」

「このビニール袋畳んで入れるか…畳めるか…?」

 「任せてっ!このくらい簡単だよっ!」

「おお、凄いな…」

はやっ!まじでプロみたいな手捌きだ…。

 「でしょ~!」

「じゃあ入るか」

 「うんっ!」


 「いらっしゃいませー」


「けいとお兄ちゃん何買うの?」

「えっとね、牛乳と卵と薄力粉を買うんだよ」

 「お手伝いする!!」

「ありがと」

「はい!けいとお兄ちゃん!カゴ!」

 「お、ありがと、」

「まずは牛乳、牛乳はあそこだ!とってくる!!」

「お、おう」

そういえば…供子って何歳なんだ…?帰ってきたら聞いてみるか…

 「はい!けいとお兄ちゃん!」

「ありがと、そういえばなんだけど、供子って何歳なんだ?」

 「ともこはね!小学五年生だよ!!」

「小五ってことは…11歳?」

「そーだよ!誕生日は6月12日!ふたご座!!」

「そうか、わかったわかった」

「うん!じゃあ次は卵だね!とってくる!」

「転ぶなよー」


いや~しっかりした子だな…あんなしっかりした小学生見たことないわ、これは、

親の教育がいいんだろうな。俺も将来は供子の親を見習うか…


 「はい!けいとお兄ちゃん!」

「お?ありがとなーあとは薄力粉だけか…」

「薄力粉は俺が買っとくから供子はお菓子みてきなー」

「えっ…!お菓子買っていいの…!?」

 「お、おう、手伝ってくれたからな…」

「やったー!!!じゃあ見てくるね!!」

「おう、」

やっぱ供子はまだ子供なんだな…あんなにしっかりしてるに、心は子供のままか…

流石にかっ‼


 「うーん、あった薄力粉、これで買い物終わりっと、供子の所いってみるか」


「供子ー決まったかー?」

 「う~んこれもいいしこれもいい、あ!これも捨てがたい…う~ん」

「なやんでるな…」

「あ!けいとお兄ちゃん!そうだ!けいとお兄ちゃんが決めて!!」

「えっ、」

 「これかこれかこれ!この三つの中から!!」

「じゃーあ、全部だな、全部カゴの中に入れていいぞ」

「っえ!いいの!?」

「おう、いいぞ」

 「でも、さすがに申し訳ないよ…けいとお兄ちゃんのお金だし…」

この子はどんだけいい子なんだああぁー…

「じゃあこれは俺が買うって言ったら文句ないだろ?」

「う、うん!」

「じゃあ会計行くか」

「うん!いくぅ!」


 「あいっとーございあしたー」


「ほら供子、レインコート着て」

「はーい」


 「よしじゃあ行くか、供子の家まで送るよ」

「けいとお兄ちゃんの家に行きたい!」

「え?別に構わないけど、おうちの人は大丈夫なの?」

「うん!連絡しとくから大丈夫!!」

「ならいいんだけど!」

「じゃあ、俺の家行くか」

「うん!」

「よしいこう」

 「ねー!けいとお兄ちゃん!!」

「んー?」

 「手!つないでもいい?」

「え?でも、片方は傘でもう片方はスーパーの荷物持ってるし」

「じゃあ!その袋、ともこがもつよ!!」

「重いぞ?大丈夫か?」

 「このくらい全部平気!!じゃあ!手!つなご!」

 「お、おう」


 ――蛍斗と供子は手をつなぎながら蛍斗の家へ向かったのであった――

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