ちっちゃなヒーロー登場っ!

 「そろそろ…梅雨に入るな…」

「それなーほんとっ最悪だよ~」

「確かに、学校に行くのはめんどくさくなるね」

「チャリの奴らはほんとに可哀想かわいそうだよな」

「なんで~?」

 「だってさ、行き帰りにいちいちカッパ着るんだぞ…だるいだろ」

「確かに…それは、だるいね…」

「私たちは歩きでよかったね」

「うーんどうなんだろ、歩きも歩きでだるいだろ…」

 「…うん、結論、梅雨は来ないでって事で」

 「そうだな」

 「そうだね」


―――来ないでと願ったところで叶うわけでもなく…梅雨に入ってしまった―――


「蛍斗っおはよ!早く学校いこ?」

「蛍斗君!おはようっ!」

 「おう、おはよう、そうだな、雨も降ってるし…急ぐか…」

「うん急ご!」

「いこいこーっ」

 俺たちの会話が切れると、俺には雨の音がなんだか心地よく聞えた。


 「よーし授業を始めるぞーまずは教科書103ページを開けー」


 静かな雨が降る中、授業が始まったが蛍斗はなにやら集中できなかった。


教室の中から雨をながめるのっていいよな…なんだろうなんか黄昏たそがれた気分になるな…

…でも、なんだろ、この感じ…なんか変な気分だな今日よくない事でも起こりそう

まあ、気のせいか…雨…弱まるといいな………。



 「お前ら、気をつけて帰るんだぞ」

 「はーーい」


「蛍斗ー!ごめん!!先帰ってて!!」

「ん?なんかあったのか?」

 「いやーまたラブレター貰っちゃってさ~秒で振って帰るから!」

「あーそういうことか、わかったよー、じゃあまたな」

「うん!!またねっ!」

 桃乃は来たけど…初葉、来ないな…いつもならすぐ来るのに…どうしたんだろ…

 一旦、靴箱いくか…


 「……っえ。ま、またか…」


 《今日は用事があるので先帰ります。 初葉》


…と張り紙で貼ってあった。


 またかよ!これ結構恥ずかしいんだよな…と、いうことは、今日は一人か…。

 なんか寂しいな、いつも、三人で帰ってるからかな…でも、この前までは、俺は

 一人で登下校とうげこうしてたんだよな…。まあ、帰るか…。


「雨はい…、心を落ち着かせてくれる。」


 「まっまって~猫ちゃん、まって~どこいくの~?」


 ―――レインコートを着て猫の後を走ってついていく女の子―――


「なんだか、なごむなー」

 和む…そう思っていたのもつかだった。


 女の子が猫の後を追いかけて十字路じゅうじろに飛び込んでいった。

 カーブミラーにうつっていたのは、右から来ている車だった…


 「…危ないっ!!!」

俺は地面をる勢いで女の子を助けようと全力で走ったのだがそれはもう遅かった


 「・・・・・・・・・くっそ・・・!!」


「……⁉」      「無茶むちゃすんなあああああああ!!!!!!!!」


 …っえ⁉…なんだ…?ひき逃げか…?


 怒鳴どなって車が通りすぎると幸いギリギリのところでひかかれなかった女の子が猫を

 かかえて倒れこんでいた…。


「おい…まじかよ…」


 蛍斗は女の子の方に近づき無事かどうかを確認した。


 「大丈夫か…?おい!君!」

 「…」

 車をかわした時に地面に頭でも打ったのかな…、だったらこうしちゃいられん!

 病院へ運ばないと……っ!


と、とりあえず、おんぶして運ぶか!!近くの病院…あ!あそこにある!急ごう!


 「…にゃ~ん」

「猫ちゃん…君はもうおうちに帰りな?ついてきちゃダメだよ?」

 「みゃあ」

「ん…?首輪つけてないってことは…君は野良猫かい…?」

 「…みゃあ~ん」

「こら、君はついてきちゃダメだって…?病院へは入れないんだよ?」

 「んむぅ~」

「仕方ないな~じゃあ病院の前までだったら来ていいよ」

 「にゃーっ!」


―――こうして俺は女の子をおんぶしながら猫と一緒に病院へ向かった―――


 「猫ちゃんはここで待っとくんだぞ?」

 「にゃ~ん?」


「すみません、この子頭からどこか打ったみたいで…意識がないんです。」

 「すぐ見てみますね!担架たんか用意してー!」

「頼みます」

 「では見てみますので待合室まちあいしつの方で少し待ってていただけますか?」

「あ、はい、わかりました」

 大丈夫かな…あの子…。あ、そうだ、猫ちゃんどうなったかな?見に行こうかな


 「あれ…いない…それもそうかもう帰っちゃったか…」

 待合室へ戻ろう


 「先ほど、子供さんを運んできてくれた方ですよね?」

「はい、そうです」

 「えっとですね…やはり気を失っていました。」

「そうでしたか、いつ頃、気を取り戻すのでしょうか?」

 「取り戻すのは今日の夜には取り戻すと思います。」

「あぁーよかった」

 「あのですね、」

「はい?」

 「運んでこられた方のお名前をよろしいでしょうか?」

「あ、澪月蛍斗っていいます」

 「すみません漢字を…」

「あ、はい、これですね…」

 「ありがとうございます」

「はい」

 「こちらからは、親御おやごさんに連絡しときますので」

「はいよろしくお願いいたします。」

 「それでは帰って頂いて結構ですので、本当にありがとうございました。」

「いえいえでは失礼します」

 ふぅ~やっと終わった…まあ無事で何よりだ…うわっ!もうこんな時間じゃん…

 急いで帰らないと!!!


 蛍斗は急いで家に帰っていたら……


「はぁっはぁっはぁっはぁっはぁっ!」

 「みゃあ~お」

「…⁉さっきの猫ちゃんじゃねーか!」

 「みゃあ」

「どうしたんだよ~帰ったんじゃなかったのか~?」

 「んぁ~」

「そうか帰る場所がないのか…?」

 「にゃあ!」

「だったら俺の家くるか…?」

 親が許してくれるか、わからないが…

 「フニャー!!」

「おしっじゃあ走るぞっ!ついてこいっ」

 「にゃっ‼」


 家のドアを開けるとお母さんが立っていた。


 「こんな遅くまで何してたの!」

「こんな遅くっていっても八時くらいじゃん?」

 「言い訳はいいから!説明して!」

「いや、女の子を助けてたんだよ…」

 「えぇー?」


 蛍斗は事情を話した。


 「ほう?で、遅くなったと…?」

「う、うん」

 「まあ信じてあげましょう!んで…」

「……?」

 「その猫はなに?」


 「んみゃあ~ん」


「っえ?あ、えっーと、なんか、俺になついた…」

 「えぇ??どうするのその猫」

「いったん、お風呂に入らせて、俺の部屋へ連れてくつもり」

 「まあ、蛍斗がそれでいいならお母さんはなにも言わないわ」

「お、おう…いくぞ、猫ちゃん」

 「にゃ~」


―――そして蛍斗は猫をお風呂に入れ、自分の部屋へと連れて行った―――

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