学年のマドンナここに爆誕

もう放課後か…。初葉と帰ろうかな…?

「初葉~ぁ?ってあれ?いない…帰っちゃったのかなー?」

まあいいか、今日は一人で帰ろう。


 「……………っえ?」


蛍斗の靴箱くつばこには…、


 《ごめんなさい、今日は買い物があるので先に帰ります。 初葉》


…と、張り紙で貼ってあった…。


いやまって!!めっちゃ恥ずかしいんだけど…。…ん?ということはこれみんなに

見られてたってこと⁉

「いや、まじか…」

これじゃあまるで付き合いたての恋人じゃねーか!顔が熱い…ハズイ…。

「……帰るか。」


放課後の静かな学校に雨の音がポツンと響いた。


「雨…⁉そうか今日天気予報で曇りのち雨って言ってた記憶がある!」

初葉はギリギリ帰れただろう。うわー俺どうしよう…、あ!そうだ!!

 「あった…折りたたみ傘!ふぅ~一件落着だな…」


「…今度こそ帰るか。」


―――雨音の中、蛍斗の頭に鳴り響いたのは女子の怒鳴り声だった―――


A子「てめぇ!!ぶっ殺すぞ!!!!!」

B子「な?お前がわりぃーんだよぉ??」

C子「こいつわかってねーなぁ!おい!!」

D子「そのつらもっと殴ってドブスにしてやるよ!!」


蛍斗は恐る恐るその光景を見てみた…


おいおいまじか…集団いじめか…?なんとかして止めないと……。


A子「おいなんとか言えや!!ゴルァァ!!!!!」

 「うちが好きじゃなかったから〇〇先輩を振ったんです…」

B子「こいつっ!!お前がぁなああ!!!」

C子「やめろってもういいだろ雨も降ってきたし。帰ろよ」

D子「いいやドブスにして帰る!!もっと顔面を崩壊させてやる!!」

A子「いやもうい…」


 「おい!なにやってんだ‼」

…やべぇ、なんかあの子「もういい帰ろう」みたいな事言いそうだったじゃん!!

登場シーンミスったぁ!!くっそでもしゃーないやりげるか!

 「四人がかりで一人をいじめるなんて卑怯だぞ!やめろよ!!!」


C子「やべぇ…男子だ、私は帰る!!」

B子「わ、私も…」

D子「先公せんこうにチクったらただじゃおかねーかんな!!」

A子「お、置いてくなよ!!!」


 「…大丈夫?」

「う、うん助けてくれてありがとね。」

「それケガしてるよな…」

「…え、あ、うん、でもこれくらい平気だよ」

「ほら、ハンカチあと…」

「あ、ありがと」

 いじめられていた彼女の隣には折れた傘が転がっていた

「その傘君のだよね?折れてる…な。」

「…うん、」

 「風邪ひくぞ…これやるよ。じゃあな」


 蛍斗は自分がさしていた傘をそっと彼女の頭の上へもって行き傘の柄を優しく

 つかませ蛍斗は雨の中…帰っていった。


「今の誰だろう…。ん…?傘の柄に名前が書いてある。なんだろ…みづきけいと?

あの子蛍斗っていうんだ…覚えとこ」




「おはようございます。蛍斗君いますか?」

 「あぁ初葉ちゃん、ごめんね~蛍斗ね今、風邪ひいてて今日は学校休ませるの」

「あ、そうなんですか。わかりました、お大事にと言っといてください」

 「わざわざありがとね~いってらっしゃーい」

「はい!行ってきます‼」

そうかぁ今日は蛍斗君、休みなのか…。昼休みは読書で決定かな……


 いつも通り蛍斗のクラス(二組)は朝礼が始まるまでざわついていたが…突然、

 男子の会話が止まりクラスの男子達が教室の扉のほうを凝視ぎょうししていた。


 「おい…あれ、一組の…」

 「お、おう…だよな…なんで二組なんかに来たんだ…」

 「学年のマドンナ…『流川桃乃るかわももの』がなんで…」

 「誰に用事があるのかな…?」

「あの…澪月蛍斗って人このクラスにいる?」

 「え、あ、はい!います‼」

「姿が見当たらないんだどトイレにでも行ったの?」

 「今日は風邪で休みらしい」

「あ、そうなんだ。おっけーじゃーねー」

 「あ、帰ってった…」


「うちのせいで風邪ひかせちゃったのかな…明日謝ろう」


偶然にも桃乃が蛍斗の事で二組に来ているところを見てしまった初葉はこう思った


 え…なんで…?流川さんが蛍斗を探しているの?うちのせいで風邪ひかせた…?

 どういうこと…流川さんが蛍斗に何かしたの…。これは聞くしかない…が、私に

 は無理だそんな勇気ないあんな友達が多い子に話しかけるなんて出来るかな…?

 でもここで頑張らないとモヤモヤする!流川さんが一人の時に話かけてみよう。


「食堂いこーぜー‼」

「おう!!」


 流石に昼休みは無理だよね…友達多いからずっと話してるよね…。


 「ごめん!ちょっとお花摘みにいってくるね!」

 「おっけー」


 今が話しかけるチャンスなんじゃないのか…?行くしかない!!


 「あ、あの…流川さん…。」

「んー?えっと、ごめんね、どちらさん…?」

「あ、わ、私…二年三組の笹乃井初葉って言います…‼」

「笹乃井初葉ね~んー…なんて呼んだらいい?」

「えっもうなんでもいいですよっ」

「そうかーじゃあー『ういちゃん』って呼ぶ!」

「わかりました!私はなんて呼べばいいですか…?」

「うーん何でもいいけどー桃乃って言ってくれたほうが気楽かな~」

「じゃあ桃乃さんで」

「さん付けはなしだよ?あと敬語も禁止っ」

「あ、ごめんなさい、じゃあ桃乃ちゃん…?」

「おけ!そっちの方がいい!…で?私に話しかけて来たってことはなんかあるんで

しょ…?」

 「は、はい…朝、蛍斗君を探してましたよね…?それにうちのせいで風邪ひかせ

 たみたいなことが聞こえて来たもんで…どういうことなのかなって…」

「あ、そういうことか…実はね昨日ね…」


 桃乃は初葉に昨日の出来事を話した。


 「え、そんな事があったんだ…」

「そう、で、今日、借りてたハンカチと傘返そうと思ってね…」

「なるほど…」

「それよりさー蛍斗ってめっちゃ優しいんだねっ」

「え…それどういう…」

「いやー私ねー」

「う、うん…」

 まさか…桃乃ちゃん…蛍斗に………、

 「恋ってした事なかったんだけどもしかすると」

 いやいやまさかね、学年一モテる桃乃ちゃんが…蛍斗に…。??ありえない…。


 「今、蛍斗に『恋』してるかも…っ」


「う、っ」

 えええ…ライバル出現かよ!しかも学年のマドンナって・・・


       「「「勝てる気が一ミリもしない」」」

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