ー11

「これで終わりっと……」

 

 

 気絶しているテロリスト達全員を魔術で構成された光のロープで縛り終え、ゼロは再びアリスとティアの前に腰を降ろした。

 

 

アリスとティアは安堵の表情を浮かべゼロは乗務員に飲み物を注文すると、直ぐに三人分の飲み物が運ばれてきた。

 

 

「それでも飲んでまずは落ち着け」

 

 

「何でここにいるのよ、さっき断ったくせに」

 

 

「初授業と言ってましたけど……先生になってくれるんですか?」

 

 

 運ばれてきたドリンクに手をつける事なく、同時に質問してくるアリスにティア。

 

 

ゼロはため息をつくと、自分の元に運ばれてきた酒の瓶を開けて一口飲んだ。

 

 

「いいからまずは飲み物飲んで落ち着け、アリスは強がってみせてもまだ震えてんだろ……ティアも表情には出さなくても震えてるぞ?

質問の前に一度落ち着け」

 

 

 ゼロの言った事が図星だったのか、アリスとティアは顔を見合わせると素直に頷き飲み物を口に運ぶと気持ちを落ち着けるようにホッと一息ついた。

 

 

 少し落ち着いた様子の二人を見ると、ゼロは煙草に火をつけ静かに口を開く。

 

 

「まあ先程の質問だが、教官の要請を受ける事にした。

これからはゼロ先生と呼べよ」

 

 

「うぅ……昼間お酒飲んでる奴を先生って呼ばないと駄目なの?」

 

 

 飲み物を飲みながら目の前で勝ち誇ったかのような笑みを浮かべているゼロを恨めしそうに見つめるアリス。

 

 

そんなアリスとは対照的にティアはあまり表情を変える事なく淡々とゼロに話しかける。

 

 

「あの……先生」

 

 

「ほれ、お前もティアみたいに素直に先生と呼んでみろ」

 

 

「うぅ………」

 

 

 悔しそうにゼロを見つめるアリスだが、ティアは立ち上がると煙草を口から取り上げて消すとゴミ箱に捨ててしまった。

 

 

「あ………」

 

 

「列車内でお煙草は駄目です」

 

 

 いつもの調子を取り戻したらしく、ティアはそれだけ注意すると再びドリンクを口に運んでいた。

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