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アリスとティアが去り家の中に入ったゼロは酒を手に取り口に運ぶと、棚の上に飾ってあった写真立てを手に取った。
ただ無言で見つめる写真立てに移るのは凛々しい黒髪の男に優しく微笑む赤髪の女性、そして白銀の髪をした笑顔の少年の三人だった。
「 」
ゼロは何かを呟くと黒いコートを羽織り、携帯を取り出し足早に家を出た。
一方、ゼロに追い返されたアリスとティアは駅で列車を待っていた。
アリスはまだ怒りが収まっておらず、ティアはそれをなだめている。
「あり得ない!うちの学園は確かに変な教官が多いけど、あの人は絶対にない!」
「落ち着いてアリス、確かに言動は問題あったけど悪い人じゃなさそうだったでしょ?それに……」
ティアはそこまで言うと一度言葉を切り、アリスも怒りを抑えてティアを見た。
「あんな人初めて見た、あんなに強そうな人」
「そ、それは私も思ったけど……」
そうなのだ、一目見た時異様なまでの魔力をあの人から感じた。
もしかしたらうちの学園のどの教官よりも強いと思わせる程であった。
「でも最低なのは間違いないの!」
頭を振り叫ぶと列車が到着し、ティアと一緒に列車に乗り込んだ。
列車に乗り込み二人で席に座ると、列車は静かに走り出した。
「残念だったね」
「むしろ良かったわよ、あんなのが教官になったら大変よ」
列車が走り始め、まだツンとしているアリスを見てティアが微笑むと同時だった。
「うわっ!何だお前達!」
「きゃああああ!」
突如列車が急停車すると、乗客達の悲鳴と同時に銃声が聞こえてきた。
「なにっ!?」
「アリス!あれっ!」
「お前等動くんじゃねえ!動いたらぶっ殺すぞ!」
ティアが指差した方角を見ると、機関銃で武装した複数の男達が列車の中に入ってきた。
二人は椅子の陰に隠れ、アリスは白く輝く細い剣を抜くとティアも黒く輝く細い剣を抜いた。
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