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 噴水やベンチなどある広く快適な校庭を抜けて校舎内へと入る二人、真っ直ぐ向かった先は学園長室。


学園長室の前で立ち止まり、扉をノックすると女性の優しい声が聞こえてくる。


 

「開いていますからどうぞ」


 

『失礼します』


 

 中から声が聞こえてくると、二人は学園長室へと足を踏み入れる。



中に入り真っ先に目に入ったのはソファーに腰掛け、紅茶を飲んでいる穏やかな表情の老婆であった。



紫色の髪に穏やかな表情、決して老けている訳でもない若々しい老婆は入ってきたアリスにティアを見ると微笑んだ。


 

彼女の名前はシャルロット=フォニア、アートフォン学園の学園長をしている。


 

「いらっしゃい、ごめんなさいね?呼び出したりして」


 

「いえ、気にしないで下さい」


 

「それで、御用というのは?」


 

 アリスとティアがシャルロットに向かって口を開くと、シャルロットは二人に正面のソファーに座るように促した。


 

「まあまあ座って、あなた達も紅茶でいいかしら?」



 シャルロットは笑顔を崩さずそう言うと、二人の前に紅茶を二つ置いた。



「飲みながら聞いてくれるかしら?」


 

 シャルロットは二人が紅茶に口をつけると笑顔を崩さず口を開き、二人が頷いたのを見て話しを切り出した。


 

「あなた達二人を呼んだのはちょっとお願いがあるからなの、以前からこの学園で教官をしてくれないかと頼んでいる人がいるんだけど中々いい返事が貰えなくて困ってるの。

 


あなた達二人でその人の所に行って連れてきてほしいんだけど頼めるかしら?」


 

 シャルロットの言葉を聞いて、アリスとティアの二人は同時に首を傾げる。



学園長が要請して駄目な人を私達二人が行っても無理ではないだろうかと考えたからだ。



「あの……学園長、私達二人が行って意味があるんですか?」



 アリスは疑問に思った事を直ぐに質問すると、シャルロットは紅茶に口をつけて笑顔のまま口を開く。


 

「その人は若い人でね、あなた達一年生の担任をしてもらう予定なの。

だから、可愛らしいあなた達二人を見たらやる気を出すかなと思って」



 笑顔でとんでもない事を言い出したシャルロットにアリスとティアは何も言えなくなってしまった。


 

「お願い出来るかしら?」



 冗談かと思ったが、改めてお願いしてきたシャルロットを見て二人は顔を見合わせると頷いた。

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