Macaron Chocolat① 〜マカロンショコラ〜
コツコツコツコツ
私の足音が、乾いた空気に響く。枯葉が舞っている。時々吹く風が、首をかすめる。
繁華街から少し離れた道を歩いていると、
「石や〜き芋〜おいも。ほっかほかの石焼き芋はいかがですか〜。石や〜き芋おいも」
と、焼き芋屋さんの声が聞こえた。冬だなぁ。ちょっと前までは、セミがミンミン鳴いて死ぬほど暑かったのに。その頃は疎かった暑さだが今となってはその暑さが、恋しい。
古い商店街を通る。いつもなら近道をするのだが、今日は遠回りしたい気分だ。
久々の商店街は時々店から
「らっしゃーい」
とやる気のない声が聞こえるだけで、静かだった。一店舗ずつ、眺めながら歩く。年季の入ったお店のあれば、鮮やかな色の看板を掲げているお店もある。その中に『
「フランス語?」
私は、呟いた。ショーウインドウに並べられているのは、マカロンだった。私は(どんな味だろう)と気になり、ガラス張りのドアを開けた。
〜カランコロン
ドアベルが鳴った。
「Bonjour」
フランス語が、聞こえた。目を向けると、大柄なおじさんがいた。
「Bonjour」
私もフランス語で答える。壁はレンガ風だった。店内には様々なマカロンが並べられていた。私は、とりあえず1周してお気に入り買うことにした。
緑色。ピンク色。茶色。すごいなぁ。こんなに作るの大変だろうな。私も大会でマカロンを作ったが、せいぜい1日に2回作るのが限界だ。
私の目に、1つのマカロンが目に入った。
これしかない。これだ。私の中でビビッと何かが鳴った。
「Ce, s'il vous plaît.(これ、下さい。)」
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