酩酊

嫌に平べったい闇を

この手で潰したかのような

柘榴を懐いた身がある


明く湿らせ ざまざま

色褪せる朱のひとつの魂が、

天へと昇る翼を

あたかも溶かしていく


もうおしまいかもしれない


戦場を眺めいる 僕 が唯一を占め

闇を纏うような月が鈍く瞬ぎ、

か細い実だけを海に残して。

時に地平線に腐り落ちた

国に帰れない松葉の腫れ足は、

錆びたまま葦に生え変わり

地に根を張り、光明を抱いた。


いずれ大樹となり

様々な命が宿り、

胎児となり依代と成る。

僕だけの神となり


しかし、なるほど

土に還るばかりでは、ソラは生まれない

それでは、希望は見えないではないか。


土壌を貪る蚯蚓はそれでも、信じている


プラスチックケースの描かれた褥でも

抜け殻のモルフォ蝶は空を魅せたとき

唸らせる瞳が、一片輝いている。


僕らを殺すために

火は降り注いだ。

そういうこと、みちたりた、人生でも。

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