とっぷり

ながい くらやみを のぞいて いく

とても穢れている。賽の河原か

しかし、ならされた靴跡は、軽快だろう

ここまで来た道はもう消えることは無い

往来する人影に寄り添うが かたどるものも、いない

しみったれた黒猫と 蔓延るまなざしは容易く在れ

しかし あれはなんだったか、朧月夜の晩に

かんたんに なく、かわいく なく、いとおしく


だきあげられ、なでつけられる、もの

金の光彩、胸を穿ち、貫射て、消得よ!


鳴り止まぬ銅鑼に苛まれ、奔り続く時の鐘は微か幽か

爪の割れた血縁は沁みて染みて、冷えた唇に薔薇を散らした


紫色の盃に陽を尾として、かぜふうと覚まし らくにして魅せよ

いじらしいつら 器に移し舞て おおっぴらに抱いてしまおう

生まれ行く命は そのうちに膿んだ現世うつしよに空蝉がうつ居混いこ

己が想いは何処へ往くのか 身に着せた装束は思いであろうさ



静粛に静寂に生を沈ませ あさき肌は最果て迄沈む

闇に漂う光を繋ぎ あなたの姿と存じましょう

綺麗な声で歌うもんは 少しは拝借したいもの

聞き耳立てては噂に流され、里へ行く者は導かれ

夕餉の香りが滲みた道には美々しく斜陽がお似合いか

死に場所に誘われるという、らくな祈りを捧げゆく


終の住処を経ても尚 夢を抱く者たちは眠りを散らし

堕ちて朽ちても愛は永久とわに断罪を、円居に描く、深青。


後悔はないのだろうな ならば共に添い遂げるのみ

少しばかりの瞳が潤んで、空に還り咲く年頃だろう

戸締りはしただろうか。立つ鳥跡を残さずとも

影はひたり、焔は吹き消された。

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