幻日逃避光
月光に翼を見出して勝手に名付け、授けてはいけないのか。
何処からか今日が現れて私の片鱗の装甲をころりと剥がし、私の世界は恋に落ちていた。
もうずっと破卵は幻城であり紐と髄に選る。
生命はひとつしかないの 空の椅子では寂しげでしょう 繰り返し嘔吐く玄の原石を弄ぶ、正多面体でしかないのに 本当は一歩も惹かない 腐った種の懐いた夢は愛を孕ませ ひそやか 忍び寄ってく鴉に
朧火に鋳る温い星が洪水を
遺言は子の足元で 曼殊沙華とも摘まねばならぬが 之が義眼であるから 紐解けるものはいない、
助けは来ない 私は案山子なのです。
故に、豊穣を求め 灰と肥やしを愛おしく抱く 皆に幸あれと、一刀突き立て、焼き尽くしてくれたまえ 。
水銀燈から放出された在り来たりな夜は粛々と瞬いて、破れ目を作り出す一斗滅んで欲しい。
穢れも薄らいで新たなものとして 知らぬ言葉を置き換えて 白骨に対し記憶は遺るから どんなに知らぬふりをしても彼方は射て
――ざまあみさらせ
誂えた正解は自乗根を
未知数の綴らの彼方はしらず 時の終焉に向かい入れられる 祝福を繰り返す永久機関の涙は 嵩に成り果て零れていた 和らぎの頬に震え なだらかな流星を数え。積み上げる輝石に今は仕立て上げる、末路だ 樹海に堕ちた骸に憐れと問おうか。らくに海に投げ出されたこの身に咬ませよう。
彼方に何があるのか、
それは見つからない欠片の照り返す彩である。
取り繕うこともない、亘れない虹に
木霊が繁る差異に全て
許しを得た終の棲家から間欠泉までの歩数は空模様によって身に染みいる。やみとひかりが唯、地表に根付くだけ、ニンゲン共も更に変わらないであろう、コンパスを亡くした者どもが徘徊するだけ。
雑草のはなびらに右往左往し固唾を飲んで 日一日の雲泥を印され 阿呆らしき羽を腐らせ囀りだけを贋作する 薄ペラな闇夜の毛布を 引き寄せては眠りについたものの最期の仕事は永久の迷宮を昇り降るが 根底に堕とし込まれた詩情には気づくものもいない。
だれもかれも今知ら占める眼前の高揚に酔って、出逢いなど時の運に苛まれて流されていくのだ。
箔金の調べ、ひとところの甘糸。奏でるは嬌声、
愛が欲しいと奪い合う現実 全ての苦しみや悲しみが 消えされるように 単純であるかな絡繰りピエロはそれでも 愚かにも其のひとときの愉楽をいただくために 生命を継ぐと悟りても滑稽に嗤う 意図は確かに繋がれているか確かめることもなく、当たり前に気付かないばかりに 築かれていく この小さな心の安堵は 誰にもわからない静謐な箱にしまわれるばかり。
思い焦がれても必ず亡くなってしまう 消耗品の今、私達の魂は互いに求め喰らい、奔流ををひたかくしに 傾いたまま、あめだまを転がして、しゃぶって、亡くしている。
土気色の模様、海図の秘蜜。モノクロで縦割れに洗われる併せ貝に眠る琥珀蝶を呼び覚ます。
巣立つ羽根 必死に震わせて、とうになく、
漫画みたいなひとまくにオチるのが常か
残照に連れてズレは季語を求め、けれど 灯前の明かりが行く道だけを指して 私がフラフラと落ちていく先は、どこに向かうでもなく決められた首を絞めるつける。
日溜りは滑稽でも願えば至る虚構の穴に落ちかけていく。
空を打ち付ける緞帳は螺子がとれかけた結果、聖典墨灼けの茹でた垢蛸が青臭くなる。などとさまよいこむ幽魂の云うことは 騙されてはいけない。
朽ち果てる大地が史フミを慶んで 馬鹿に担っている 風は無下に耳鳴りを助長する あれは障りの唄、掛ける強情なベンチは塗り替え済 履きたての濃淡のクラゲが分裂をはじめ……枝分かれから生まれる賽の目はいつだって不真面目で在りたいのです。
おもちゃのバケツにいっぱい詰め込んだカレンダー、
数列の花びらであろうと風に浚われて捲られる日々は安泰です。
未来の夢物語はまな板の上で刻まれ脳味噌に煮込まれ、肥え太るちゃちな発条の金魚の様で揺らぐだけの日常は記憶から零れていく。
沢山の餌食を詰め込みズタボロな頬袋は筵、包まれ背負われる赤子のように愛らしく等しく亡くなるが、真赤な口吸い 何時迄もくちゃくちゃに潰す鬼灯でも瑕が点く、煌めいて歪ヒズんだ眼である。
私たちは確かにその実を結んだのでしょう。
それを運だと申しましょうか、いえいえ、私たちが掴み取る原石に色を与えたのは紛れもなく 私を中心に乱反射したあなたたちの魂なのでしょう。
ありがとうございますと申したところで、何のことだか、私にすら解りはしないのですが。
もうこの手の膨らみは囁かに殺そうかと思うのです。
現実は朝を迎え入れるだろうから。
さあ目覚めなさい、妄想の檻の中で何時までも漂い続けること。
「妄想の限りむさむだと してしまうのも余興にはいいが」
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