第95話Message

私、宇宙そらまでゆけたらいいね


恋い焦がれては外海を眺めている、リクガメの泪

水仙のトランシーバーはいつだって微弱な声を放した


羽の焚かれた蝶々は綺麗なラメを散らし空洞の身に消え、

奈落の雲海を抜ける月見草はいつだって嘘ばかり

自転の腕時計に吸われ、ふかふかと輪っかの穴が点に繕う

鱗のストールを羽織ってジャンプする珊瑚の死骸たちを飾る

生える 奏多が、月 日 が、沁みて は い る


朝顔のライトや腐ったトビウオは意志に変わりつつ、

針金で出来ている脊椎だったと示す、

U字に面して糸を引く宵の明星が消え 動物たちは光を喪い

手探り いきあたりばったり

路頭に迷うコは必然で運命でした。


知ってたよ。ずっとずっと大好きでした。

遠い摩天楼が仮の住処だとしても、

もう、赦さない約束すらこときれた。


わたし、わたあかい椿の首がほど捻じれては笑んで

あなたの涙に囚われ 荒れ狂う外海へ流れ着きました。


廃忘はいもうの金環食と乳状の氷輪のいさかいは毒蛾の噂

落日に揺れる木々はもう跡形もない屋根の下で息を切らした

砂漠に堕ちた契り うたかたを数える羊の群れ 憮然たるさま


わがままに生まれ変われたのかな、

バス停の街灯と鱗粉がポルカと躍れば、

何年も姿を留めいたはずの箱庭に飾られてまじろ

黙然の芍薬が蕾のまま咲きません。


紅花の三角糖を通じてくるくる、

あなただけを更新しています。







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