第89話彼方の空似。
彩りを肌で感じ入る荒々しい木肌
恥じらいながら顔出す新芽
強欲な風に背を押される季節
易しい時が犯してゆく心象
帳尻のあわない花びらの枚数を挟み込んで持ち歩く。
細くなった手首の縁に薄紅の唇が
添いては散り、労わるように抱擁する。
そんな季節にもなる嵩だ、花吹雪に惑う私と永遠に往く。
寂しくもある掌で今まで無くしただけの時計の長針の痕を撫でると、
世界は恋に落ちていき、世は故意に乱れて逝った。
やはり、春の嵐か
霞む眼差しを堪えながら小煩い腰掛けから時を動かす。
鈍らこそばい時が頬を撫で、等に細めた眼も
久方ぶりにしゃんと起こされた気がする。
背を向けるのは風ばかりの陽。
はらはらと捲られる、覚束無い木漏れ日に和らいでは凪いだ、
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