第88話縺れた愛

空調の途絶えた耳鳴り

水面を桜花する空

何処へ行っても霧がない、

此処は緋の海


さすれば願いは叶う

蝋燭は涸れた鬼灯を噛んで

苦虫を殺した。

瓦礫を游ぐ饐えた鯨

声も挙げずに打ち上がる

薄紅の心は死んだ


花火が散る陽に向日葵は首を折り

花弁が堕る月で乙女の臓腑を裁く


造作も無いモンシロチョウの目交い

青天井に朱を奔る 風に踊れ。


地上の杯 縺れた愛

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