第73話銀影因果

今黒い雨に描かれた 画布に塗り込めた呪い。


見る間に溶けだして 今では表情すらわからない

耄碌してしまった私の 饐えた黒鳥が羽撃はばたくのを

臥した見てくれに 指を準えても 永久に乾くこともない


金泥こんでいの墨が 落ちた腕によって 弾かれて はつとちらす

神のたなうらたのみ 盆景は めまぐるしく 廃色を入れ替えるよう。


あえて例え言うなら 路面に照り返し 瞬く

天に昇る 竜光の魅せた ゆらぎ。

露光に侵され 世界を焼いて鋳る 銀塩ぎんえん/印画いんが


幾度も擦られた目頭にこびりつき 白く黒く

惹かれた朱線だけが遺される。

未完成の 私の生き様を、未だ ひきずりて 生かす夜


描き続ける 腐り落ちたその野地のちも 彩管だけが

奔られるときに 古臭く曖昧な過去と 未来をも繰り返す


流行り廃れる 曝首の洋燈ランプ

憐れなる人々を悪夢に誘い入れる

今夜も又、贄隣る けた女、曝首の眼光。

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