第72話不実

様々な煌めきを与える翼は屹度みんなに生えている

誰も使い方を授けてはくれないかもしれない

それすら知るものもいないのかもしれない


底に立つ私たちの足跡は誰の者でも無く、

磨かれた前歯から零れた食べカスのようなもの。

私達はそうして振り返りの途を作る。

思い出だったり腐った嫌味かもしれない、

小さいながらも沢山の誰かの生きた痕跡が、

楽な方、洛な方に下っていく。


雨降りて地は固まる、その先に世界は芽吹きを知り、

不意の立ち位置において孤独を覚える。


一つに括るは歴史と言い切る術の一端にれず


色の抜けたセロハンが涙を凍らせてできたものだとすれば

薄く伸ばした砂利道もまた愛を語らう為の奴隷に過ぎない。


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