第71話枯淡の境地

ふると身動ぎして あくびひとつ

其れも可愛らしい ちいさきもの

悪戯に射す

神々の遊びかな


憂 尽くし気ままに、逢い をかし


傷ついた花を今更介添したところで

緩やかに向かう死を避けることは叶わない

全く無駄であろうさ


硝子に伝染る汎用世界

何故に惹き込まれるのか

うつる自ずは見えやしないの


洛陽に問う

明日もくるうのか


真紅の侵害をも垂らす

空はあけすけなく尊い


祖の雨霰、霞羽搏く者達

何処へ往こうが浮雲の果て

逝くことは 確か


心に残る野薔薇の棘に視線を這わせ

中を巣食う野茨の華が唇から零れる


嗚呼、唯 嘆息なり


ただ安らかで有りたい

浅薄な朝を求め

机上の空論すら諭す


諦めを抱いて、共に逝くまで


今が続いて往く

終わりまで其れだけの出来事

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