第64話【水差し】

あの懐かしい 青い空で 優しい夏に

置いていく。実をなくした房、

眩いシャンデリアをつまんで眺める

これは硝子細工でも何でもない


あなたの心臓だ。


生まれたばかりでも赤い蕾をもち

くすんだ盃を波立たせる海豚は瞑ら


夏の日差しの木漏れ日も、

秘密の場所でつつきあう。

私達は、狩人でありたい


夢を見ている。

開かずの扉の灯窓、

赤い袂が澱みなく

垂れ下がる恋の星。


罠にかかった麒麟

色違いの病理、

破裂した西瓜、

美味しく頂かれた日曜日。


きらびやかな長寿の器

花びらのような私

チラちかせる波紋が、


ちらちら

絖つける


それは蜃気楼の悪夢、


朝日は登るというのに

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