第61話野茨

創造以上の亜鉛を撒き散らし

あいもかわらず生きている

私の電極はイカれているらしい

付箋のごとく折り返す日々

夜焦れる悉く 無駄に息をしている。


カサついた喉は張り付いた

何かを吐き出したいのだろう。

アペとペに嘔吐くばかりだ


いっぽう、

ちっせえ匣ン中で五月蝿いモノ、

からからと、なく。

さいわい、


私達の生きる永遠 末の見えた世界

命は永くはありません、

欲に忠実に生きて着けば

落ちこぼれの天はあざ笑うかのよに

今日も様々な花弁を風舞いてくれる夜。


ヤニで煤けた壁を塗り替えても

あなたが消えた痕跡をくらくらと喰らう


剣線は八つ裂きてだくだく

溢れ出した思考を食い物にする

仄暗い蝴蝶が大脳を荒す

橋渡しで遺骨を込める、私の器に


孤独にも手が届き惰弱にも薬湯に浸された

悦楽の溜池でつぶつぶつの悪露と游戯を決め込む


そんなものは夢物語だ

底には遺体しかないではないか。

老朽化した建具の隙間から真っ当な風が

強く冷たく私を浚っていくが、どうでも良かった


感情は既に壊死し ぎくしゃくと玉砂利を蔑み

庭の淵のイドにあしげなく私を動かすのは

幸せであった頃の残り滓が未だ細細と花を付けるからだ


うつろかなのえ虚ろ叶の絵

さらさらびびし更々美美し

さみししみじみ寂し沁々


あゝ ツルバラが私を絞め殺してくれような

ナア、そんな月であったか、損な月日でも暖かで

君と私と思いに依ってするすると屋敷を埋めていく


今日もまた陽が昇り沈んだ、

世界にとってはそれだけなこと。


ああ無駄な電燈が私を照らして来るが

余にとってはやんごとない日々である。



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