第59話 はなかご
去る鳥は茜を知っていて何処までも定めを求めた。
今祈願線を望む。
稜線は幽かに光を零して行った君のシルエットが、抜け切らずに僕の影とヤリ続けて、一帯を埋め戻し、欲しいだけの愛を創造すると広陵としていた土気色の薔薇が、生き生きと声を上げるようになったものです。
嗚呼、私は又涙を浮かべていることに気づくのだと、浅はかな朝を、常々顔向けも出来ない光を、頂いてしまったもの。
さりとて好き好んで此処に囚われているものですからと冷えた褥に閉じたまま手探りでアナタを捜しておりますと、己を薄れさせる落胤が日日きっかりと現れますので、すると朝は訪れたことを知らされるので。
また来てネ、思いながらも、酷いやつだとも懺悔の罅は、そもそも道行きなりに楽に開かれて行くもので、誰も悪くは無く月陽だけが安穏に顔を出すことが罪なので御座いましょう。
然しその廓から抜け出した代償に私達なりの幸せを掴むことが叶いましたのです。ひもじいだけの幸せはもうすぐ終わりが来る。
末に冷えきった命に縋り祈りにも満たない諦めにも似た、さめざめと煮え切らない雨を乞い、降らない惰性の日々に、なさけ、なけなしの愛の空に、治まっているのです。
春は終わりを告げ、美しく涙を浮かべている死に面を徒花にして終に贈る。其の藍の華を紫陽花と云いましょうか。
私の代わりに永遠に泣いてくれれば、咲き誇る花々は一帯を埋め尽くす、夏には向日葵が笑顔を見せ、山肌を覆う紅葉が活き活きと生き恥を覆い隠して、冬には逝き昏れるのだろう。
全て凡て均される底は一段と模られる花壇と結う、
一段と化生し育つ草花と成り果てるのだ。
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