第50話 罅割れの殻硝子

看ててらっしゃい酔ってらっしゃい。

限りなく白に近い灰色の雪が今宵も空から吐き出されます。


殻烏は何処か遠くを、あてどもなく、今だけを身据え、

先割くと咲き裂くと、亘って往くだけ。


余を覆い尽くす。

天からの賜り物でしょう

明日、解けて閉まってもなんの問題もありゃしない。


うわばみの礎を、今、空の殻に積み上げ

荷造りされ、雨に濡れたひわいは奇声を挙げる

荒縄にも均しい土気色の路面には飴細工の出店が或る。


これが平らな未知でございます。

あけすけ無く大っぴらに凡てご覧に入れましょう。


一瞬で立ち消えて底に奔るはねずみ算の翳り

路地裏を埋め尽くし、穴は見当たらなかった。


闇夜に躍る蛾蟲以下の存在、光と闇の戯言でございましょう。


底に私はいないのだから。

すべてうたかた一夜の夢、偽りでございますゆえ。

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