第49話【深雪の絵画】

【深雪の絵画】

おわりにしたいのだ。

唇から枝垂れる朱に 今宵を湿らせて

枯れ花に愛を注ぐ

朱の紫陽花は色を残して。


空けていくのか朽ちていくのか

かればなにあいを 手織りて

君に首ったけの愛を 手下りて


未だ日は暖かく感ずる窓辺

外気から閉じられたいびつな日々に

捨てきれないと

無残散々の私を毒づかせるもの


影だけが色濃く残る天井に臨む

つぶさな物だけをどこまでも目指している


丈のない竹が 天高く聳え立つ

分断された生と死のイロを分つように。

流されるまま風に乗せる子守唄も


囁きの しらぐもり。さんざめく星々の翳り、

泡沫を吐く水彩の懐游魚、哭射て鋳る梟


巣隠こもる球体を観測する

ふたつめ藍弔歌


電球がしばしば眩んで暗む

やはり朦朧とするばかりで眠れないのだ


しろいしろい赤子がしんしんと哭居て要る箱庭のあぶく

降り積もる塵芥の世に沈みゆくイマージュの懐我かいが


いつまでもお慕い申しております。などと

怨み言を配し、廃す。

肺にして灰にしてくれ、


之が私と謂う、凡て


この星が色濃くのこる氷雨模様

まだ雪は降りそうもない

みせしめで死んだ貝殻を押し当てる夜。


此処に私は居ると言うのに。

誰からも愛されない屍人の聲は舞っている

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