第30話【終着駅】

問題がなかった答案用紙。満天でも 底に、何もかも無い 零展でも、見えやしなくても わかろうものである白指。突き出された案が すんなりか細い道を通過する 学園の鐘が、鳴る 踏切で俺たちは路頭に迷って 閉まった 掌でも 綴じられた形見の切符が 射止めても 汽車は心底轢いた。2人を乗せているかどうかは、わかりはしない 未来には ゆらり。ゆられて 海に抱かれた陽炎 睫毛を湿して、泣いたのは 誰だって 感傷に浸る 夏の潮彩 艶やかな斜陽。拙い藍色の宇宙 梳かして行く、鯨。私に出来る唯一 救いかた、易しくして 刺して、願いの届いた一角を 思い出して。甘く蕩けた雨降り 一雫 織り込まれた 言霊 でも 描いて見えた我儘。 有り得たような展望はどうしても鈍色で。あなたとわたしは荒縄で括った首に仲良くをマフラーを 撒いた 藍色の愛の射ろ おそらに。 渡り切る為の踏切をやつと、いっとう風は畦道を走り出した。タダの夜伽噺、それが永遠の夢にならないことを2人は知っていて。おかしくて ふいに笑った気がしたから。深海に今でも薔薇は咲いている 定かではなかったが、小さな駅舎に滑り込んだ吐息は 確かに 切なく寄り添い 艶やかに 深海の徒花の夜 底を彩る朱 散った 光 弾かれて 涸れた其処に 眠りについている【終着駅】

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