第23話【空の巣】

【空の巣】


深追いできない底なし沼。

何も聞こえない、見えもしない。円柱の空閑

とても詰まらない 駄々流しの今に、


唯空虚な眼差しが鈍く 慰撫しては 支線を削いだ。

私達の沿線は靄に侵され未知を切らし、

未来いき の車両は終点を見失う。


白き空感に鋳るように間隔は 徐々に狭まるのを感じた

喰らい尽くして息場所を喪う 死した者達の概念

咽び啼く 空底の刻 死然最骸が最期の吐息を鳴らす。


幻日の隙間に磔られたスズムシとホタル

入滅を繰り返す光と影

凛と為す垂迹、

啞啞。

烏硝子の超え、嘶く生(な)り、


〆はしゅくしゅくと執り行われる

小さな六角箱の内側でじりじりと身を焦がし

乍らの愛を浴びせよ


天上は儘、青い葛を降らし、苑を染め挙げる

血管が裂かれイロを喪う葵の烏。

桃色の春は時を留め 番と繋がれた鎖 外さぬように

硬く 難く 夜焦れ 逝く

斯(光)して白鴉に成れるのだ。


空が薄情に溢れ堕ち何の夢をも描ける

過去に孵る。埋まれゆけ血と肉に廃せ、


肋砂漠のゆめくじらはピンクの闇を堕とせない

深海埋まれの血上もぐらは眼球を零し底なし

空宙を内々に収め 我が儘な朝顔が弦を均す


枠組みは縁盗られ、新たな息を廃す

外壁は取り外され 自由に徘徊するは蚯蚓であろう。


真に反れが息吹と有りて天と地との境を失くすべき

怨嗟の渦を殺すように、朽ちを開い瞬ぎに静寂は凸て変わる。

差し伸べられた腕が誰であろうとも救いの源と信じ、


共に行くことを誓うが善い。

今すべきこと殻に閉じ 木漏れ日であろう光よ

微睡みと惑いの、雛鳥を救い給え。




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