第19話【誰彼灯哭く】

少し厚着をした風が颯爽と走り抜ける

駆け抜ければまだ暑い。ですから落ち場と汗を敷く。

鈍色に育った葉は虫食い穴も可愛く微笑んだように、

知っていたけれども、まだまだ遊んでいたいようです。

薄で払われた入道雲はかすれておしまいに、

代わりには鰯だったり羊だったり宇宙に盛んに描かれる。

鱗のように剥がれては色気の何もない。

ほら、真っ青な空。

なにもないぽかんとした呆けた口で、何も語れずだんまり。

被らない思いはだけ奥底に隠しそれぞれの道を呼ぶ。

だれかれともなく空を見上げる、

引かれてしまうのはまだ希望があるから

上向けと弾かれて誘われるまま。

今日も季節と戯れる、ほんのちょっとでもいい、

自然と自らになれる気がするから。

流れ落ちるものは何もなくても、時は続いて逝くが言い。易々と老いてゆく軌跡、秋に飽きずに。

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