第14話覊束(きそく)
嗚呼、私は久しく動きを留めた。
諦めもつけられずにもたもたと夕陽はあちら側に逝って閉まった、暗闇がひたひたと蛇口から泪を零す。
気づいたからには、埃を薄く吐いて煩わしい。異音の叫びか、仕方なしと。重い腰は悲鳴をあげ、稍(やや)あって暗く凭れていた古い座掛けが元に戻る際に黴臭く泣いただけであった。
天井の照明に蛾が集るのを認めただけで今も過ぎてしまった。
老け湿気た厚地の黒布はすかりと日日に光を零しては透かし闇夜に覆う。漏れて射る優しげな月夜が私を憂うからひたひたの心地のまま夜目を聴かせて水滴の音色を首を絞め亡くすと。
この館に徘徊している愛は何時までも胸を腐らせるは何時まで待っても、こんなに香っていると云う。あなたの幻影も殺せればいいのに。無くなる事のない思いでだけで胸がいっぱいで、腹も満たされないのに、西日が残る台所には未だあなたはいるのだ。
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