第12話 【カドノキタイ】

その陰に何かいる、箪笥の角だ、

吸い寄せられる、嗚呼

完璧なこの世にお別れを。


あなたの痛みから今、新芽が生えました。


誕生日おめでとう

日々の日常は鮮やかに移り変わる時

光は微笑むばかりで助けてはくれなかった


ごめんなさい

夜の体になる 私は何も知らない海になれる

揺らぐイメージだけ 私は海月 水母 蚱

何を抱いているの誰を救えばいいの


ありがとうございます

裸足となってキラキラ硝子 その欠片を踏む

荷物はわらじ2足でも捨てられない思い出は


さようなら

その襖を開けることは叶わない

君は喜ぶだろうか怒るであろうな

生まれたばかりの赤子は、やはり泣くのだろう


忘れないよ、

毎晩鍵を閉めて

瞳を閉じても


いつだって確信犯

君に投げつけたガラスの片鱗を纏ったけれど


元から割れてしまっていたこと

初めから気づいていて、赤く朱く染まっていたんです

派手な音を立てて瓦解した衝動は


殺すつもりはなかった、と。ありきたりな言い訳

打開策 潰れそうになる前に撥ね除けただけ


鬱蒼とした雑草だから直ぐ庇われて仕舞う

いのちからがら空から降る光と影と虚ろな雫たち

潤いを齎す輪廻だから


十字られた花緒が咲き切れる前に

これ以上の距離が見えなくなる前に

その首吊って投げつけてても

ついていけばよかったんだよ


そうして培われた血の足跡が。

未知になるって知ってた。


期待に添えなくてすいません

せめての機体に浮上したい

慕いと死体を仕舞い、

天音雨音に甘えます


囁かな祖の眼差しで愛して。

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