五、「くだらない、こんな世界」

スパート・オリジン

【スパート、色彩起源】



 あの輝く背中に憧れた。

 持つべきものは、きちんと与えられてきたと思う。家族も、友達も、勉強も、部活も、そこそこ充実していたはずだ。けど、そんな形だけの充実感なんて、後から思い出して懐かしむぐらいのものでしかなかった。だから、あの姿は一層あたしの魂を惹きつけた。

 ネガの脅威からあたしを救ってくれた、あの英雄の背中から。

 運命は、きっと劇的だ。恋愛だったり、仕事だったり、人には誰しも劇的な運命の出会いがあるのだと信じていた。あたしにとっての運命、それは正義の英雄との出会いだったに違いない。


 だから、この道をこのまま進んでいくことに間違いはないのだ。


 英雄の背中を追って、正義の味方になるのは義務なのだ。


 戦え、戦え、戦え、それがあたしの運命なのだから。



「太陽は――冷たく現実を照らす緑の運命」



 でも、どうして、あたしは⋯⋯こんな化け物と戦う羽目になったんだろう――

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