神里編~マギア戦線、夢の跡~

四、「そんな世界を、絶対に許さない」

デッドロック・オリジン

【デッドロック、色彩起源】



 あたしには、本物が分からない。

 絶対的な善とか、普遍的な倫理とか、そんなものがきっとあるのだろう。きっと、そう信じていた。心の奥底では今でもそう思っている。でも、マギアになって現実というものを知った。

 世界を曇らせているのは、この身が無力だからだ。

 力が無ければ、強いものに従うしかない。権力とか、法律とか、そんな誰かが敷いた正義に従うしかないのだ。それでも、この魔法の力はそれらに抗いうる超常の力。そう気付いたとき、法律や道徳が紙切れのように頼りなくなった。


 正義を実行出来るのは、本物の力を持っているからだ。


 眩しく、明らかで、そんな本物の光には目を逸らすしか無かった。


 中途半端に、どっちつかずにやっていく。あたしに出来ることは、精々そのくらいだ。



「太陽は――きっと本物の赤い光を発している」



 それでも、きっと本物は⋯⋯色褪せないよな――

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