18歳と3日。

今朝の学校はざわざわしている。皆が互いに小声で話し合いながら、私の方をちらちらと見てくる。でも、突き刺さるような鋭い目線ではなく、美しいダイヤモンドを目にした時のような、あの見とれるような目。


「おはよう真奈美!」

「おはよう凛」

すると真奈美が私の耳にぼそぼそと呟いてきた。

「あんた、CHANGER使ったんでしょ?皆あの子は誰だーってすごい噂になってるよ。っていうかちょっと隣のクラスの北野に似てない?でも、いい感じよ」

「本当?ちょっと顔のパーツを入れ替えてみたの」


真奈美はニコニコしながらピースをした。私もはにかみながらピースを返した。

今日は私にとって素晴らしい一日、いや、きっと記念の一日になるはずだ。


ーキーンコーンカーンコーンー


「おーい皆席につけー!えーと、朝のホームルームを始める前にお前らに伝えておきたいことがある。実は、隣のクラスの北野七瀬が昨日から行方不明なんだ。もし知ってることがある奴がいたら至急俺のところに来てほしい」


☆☆☆


真っ赤な夕日が少しずつ沈み始めた今、私は校門の前に立ち、ある人を待っていた。


「あ、翔くーん!」

大きな声で彼を呼び止めた。

彼は振り向くと、友達の輪から外れ私の方へ歩いてきた。


「えーと、何ですか?確か、佐竹さんだよね?」

「うん、そうだよ。あの、好きです。私と付き合ってください!」


勝利を確信した私の口角は上がっていた。

きっと彼の目には今、最高にかわいい私の顔が映っているだろう。



「...ごめん。俺他に好きな人がいるから」



「え、あー北野さんでしょ?でもあの子行方不明なんだよね?帰ってくるかも分からないのにもう好きでいる理由なんてないんじゃない?あはは」


すると翔は急に私をギロッと睨んだ。睨まれた。なんで?


「そういうこと、冗談でも言わないでほしい。ごめん、じゃっ」


すたすたと仲間の待つ方へ歩いて行ってしまった。

私は理解が出来なかった。今の何なの?私に怒ってた?

当たり前の事を言ったまでじゃない。

私はあなたのために北野さんになったのに。

じゃあ一体どうすればあなたを手に入れられるの?

何をすれば私の「モノ」になってくれるの?










「あーそうか。あなたも私になればいいのか」




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