第21話 後悔

心が騒ついた。


私の好きな人は私を見てくれているだろうか。


2003年から2004年に年号が変わって一週間が過ぎた頃、

冬休みが終わり、始業式を迎えた。


私はまことくんから貰ったシーバのぬいぐるみをカバンにつけて

ワクワクしながら学校の門をくぐった。


「まことー!」


私の後ろの方で、まことくんを呼ぶ声がした。

私はまことくんを一目見たくて、振り返った。


その時、私は期待していたんだと思う。


クリスマスの前日に渡したマフラーをまことくんが巻いてくれていることを。


私の視界の中でまことくんが入って来た。


まことくんは期待通り、私がプレゼントしたマフラーを巻いていた。


でも。


先ほどまことくんを呼んだのは、佐倉結衣さん。

彼女も、白いマフラーを首に巻いていた。

二人は白いマフラーを巻いて、肩を並べて校門をくぐっていった。

私は振り返ったその場から動けなかった。

分かっていたはずだった。


一緒にマフラーを選んで、

まことくんがそのマフラーを送るのは

佐倉さんだっていうのを分かっていたはずだった。


でも、お揃いのマフラーを巻いて笑いあっている二人を見たとき、

私の中で何かが壊れるような感覚があった。



ーもう・・・

 いいんじゃないかな。


もう一人の私が、何かを諦めた。

それはたぶん初めての『失恋』だったんだと思う。


そのあと、私はまことくんを避けるようになっていた。


佐倉さんとはちゃんと話した事がなかったけど、

もしかしたら心のどこかで嫌っていたのかもしれない。



だからあの時、私は佐倉さんに

まことくんからのメッセージを伝えなかった。



私の意地悪で

二人が決別したことを知ったのは



それから2年後のことだった。

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