第二話「空白の時間と溢れる感情」

「一人でも大丈夫か?」

「うん、平気」

「そうか。気をつけろよ」

「いってきます」


(忘れかけてた想いを賢さんが覚えさせてくれた。

優しくしてくれる隼人さん。

昨日の再会で、和誠さんの今世・賢さんと出会えた。本音ってあれだけだったのかな?)

散歩しながら、歩道橋から賢の姿を探してた。

「穂香?」

「賢さん…?」

髪をかきあげ、涙が溢れるのを止めることができなかった。

「ううっ…賢さん」

「泣くな。もう幸せになれるんだろ?俺に君のとびっきりの笑顔を見せてくれ」

「賢さん…幸せになってる?」

「!!…なってるよ」

(嘘だ。幸せになってない)

「本当?」

「本当だ。だから、心配するな」

(ごめん、穂香。君を忘れようとしても無理だったんだ)

「君を忘れたくない。君を失いたくない」

「賢さん…?」

賢は、涙を流す穂香をぎゅっと強く抱きしめた。

(君は、いつまでも俺の女だ。だけど、俺のせいで、君は…君は…!!)

「俺のことは忘れてくれ。俺に関する全ての記憶を…」

「できない。忘れたくない」

「君には隼人がいるだろ?だから、これでもうおしまいだ」

「君を愛してる。誰よりも愛してる。愛してるから、手離したいんだ。

君は俺の…いつまでも俺の…大切な存在だ。君を忘れようとしても無理だったんだ。

君が幸せに近づくにつれて、俺はもう一度君に恋をしてしまった。こんな気持ちは君が教えてくれたんだ。

穂香、ありがとう。

好きだ。愛してる。いつまでも、俺は君の幸せを願ってるよ」


「これが俺の本音だ」


(君から恋を教えてくれた。

君から愛を知ったんだ。

君から「愛してる」の意味を知ったんだ。

君は「大切な存在」だから、手離すよ。

どんな時でも、どこにいても、俺は君の幸せをずっと、ずっと願ってるよ)

心の中で囁く愛の告白。

穂香には伝えるのは、また今度にしようと決めた賢だった。


「おかえりなさい」

夜になった時に、隼人と同居するアパートに戻った。

「ただいま」

「大丈夫だった?」

「うん、大丈夫」


「んんっんあっ」

舌と舌が絡み合う。鼓動が吐息を早ませる。

「ごめん。もう我慢できない」


「隼人?」

「ゴムいるよな?」

「うん」


ゴムを付け剛棒が、穂香の秘部にゆっくりと入った。


少し息を荒くする穂香の頬が赤くなった。

「ああっ…この顔、堪らないな」

「んっんん」

また舌を絡みながら、ゆっくりと動いた。

「んんっんあっああ」

「大丈夫か?」

「うん。だ…大丈夫」


「君は俺の女だ。他の男なんて忘れてくれ」

「隼人…?」

チュッチュッとした音を立てて、隼人は、穂香の首筋や背中に数々のキスマークを付けた。


「ひどい…」

「君を誰にも触れられないような体にするからな」

スーと人差し指で隼人は首筋からお腹までなぞった。

「っ」

「穂香。俺の大切な彼女。そして奥さん。これからもよろしくな」

「こちらこそ」


5月5日。

「結婚おめでとう!」

スーツ姿の賢とみんなに祝福された。

「ありがとう」

「ありがとうございます」


「穂香」

「なに?」

「愛してる」

「私も愛してます」


幸せな時間。

幸せにしてくれた人。

幸せを教えてくれた人。


これからも、ずっと愛してるよ。

ありがとう。


〜終わり〜

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

少年と少女の未来編-ありがとう- ドーナツパンダ @donatupanda

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ