港町

始まりは貿易港として有名なとある港町から・・・。

ここは温暖で過ごしやすく、皆穏やかに暮らしている。

夏には少々雨が少ない年もあるし、風の強い日もあるが一年で見れば過ごしやすいところ。


港には大小の船が泊まっている。それぞれ立派な船だがそんなのが霞むようなのが地元の貿易商が所有する帆船だろう。

それはまるで水に浮かぶ屋敷のよう、帆はたたまれているので、出港時の雄姿は想像するしかないが、あのマストはマストだけで三階建ての家よりおおきいそうだ。そんなのが三本。


真っ黒い船体はまるで海賊船のようだと遠くで見た時には思うだろう、しかし近くで見るとぐるりと一周する細い白い線、船首にまわりこみつつ眺めると銀色や金色の貝や魚の小さな装飾(小さいといっても船体が大きいからそう見えるだけだが)や、海藻をイメージしたラインもある。そして船首には少女の白い像が船の護りとして据えられている。

その少女は目を閉じ、何かを祈っているようだ。旅の安全だろうか。手に持つのは手鏡だといわれているが、所有者はそれが何なのか公表はしてないそうだ。


ここでは昔から羊毛の産地として有名で衣類や寝具が有名で港町として発展してきた。


この物語はその昔から更に少し昔の話。

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