人になれば

Dogs Fighter

第X話

声を失った彼女は彼に合いに行った、真実を伝える為に、彼を取り戻すために

真実を伝えたあと帰ってきた答えは

「ありがとう、あなたのおかげで運命の人とあえた」

というもの

握られた手に温度すら感じなかった、背筋に冷たいものが流れた

御礼をしなくてはと、その人のもとに向かう彼に思わず踵を返した

静かにドアを閉め、広い玄関を抜け、庭は大して大きくはないが細い鉄で華奢に

飾られた門は大きかった

ふいに後ろでドアの開く音がした

驚いて振り向く

そこにいたのは、彼ではなく彼の大事な人だった

何を話したのかも覚えていない

ただ早く門を出たかった

半ば振り切るように門を出た

後ろでドアの閉まる音がした


ただ拳を握った。

左足で地面を蹴った。

二度蹴って、足に跳ね返る痛みにかなしくなる

はじめての痛みだ

いろいろなものを失い

ちぎられたいたみだった。


三歩も歩いたら耐えきれなくなり、その場にしゃがみ大声で泣きたかったろう、

届けとばかりに


***

これは第一話ではなく、未来の一話

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る