喉を切り裂かれた者の声




ー喉を切り裂かれた者の

その声が響くことはもうないー






雨に濡れた屋根を照らす月明かりが

何かを諭しているようで



夏の気配が残る温い空気が

積み重ねた罪を囁くように首を締める



雨を含んだ土を裸足で踏みつけ

汚れた分が己の穢れだと言い聞かせ



月に問われた己の影が

あまりにも深い闇の様




救いのない闇の様






だから


孕む闇が溢れる前に

切り裂かねばならない



だから


喉を切り裂いたんだ



この手で







闇を孕んだ己の声など消えてしまえ









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