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目次
云わぬ声、別れ雨
言ってはいけない言葉
浮かんでは 塗り潰し
浮かんでは 塗り潰して
海を渡る橋の上
夜に呑まれた水面（みなも）に揺れる
街の明かりがとても綺麗で
静寂なこころに言葉が浮かぶ
言ってはいけない言葉が浮かぶ
掻き消すように塗り潰す
何もない平らな道
何もないのに躓いて
何もないのに重たい一歩
踏み出す足も引き摺って
擦れた痕に言葉が浮かぶ
走ってもいないのに息が苦しい
通り過ぎた人の煙草の煙に
知りたくもないニュースの山に
大切な人たちの顔が浮かび
言ってはいけない言葉が霞む
過ぎてしまった雨の季節に
それらをひたすら塗り潰す
空を揺蕩う月が綺麗で
言ってはいけない言葉が浮かんで
悲しい気がして塗り潰して
塗り潰して
月が揺蕩う海が綺麗で
塗り潰すのももう疲れて
月が揺蕩うこの海に
月が揺蕩うこの海になれたなら…
そう言って 少しだけ笑って
頬を伝う別れ雨
最期の言葉 砂に遺して
海の月が揺蕩うほうへ
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