土砂降りの中で




激しく降り頻る雨の中に佇めば

感情の血で錆び付いたナイフも

綺麗になるだろうか


激しく降り頻る雨で白く煙る街に

流れに飲まれるように生きる僕の

これからの日々も

綺麗になるだろうか



苦しみも

悲しみも

怒りも

憎しみも

すぐに荒立つ心も

すぐに俯く弱さも

それとなくで生きてしまう甘さも

心で握り締めているナイフも

忘れてしまいたい過去も


全て洗い流すように

激しく降り頻る雨の中に佇んでいた


ただ、それだけだった



遠く夜の向こう側の空が光った

一瞬

雨曝しの僕が浮き彫りになった

その瞬間

横たわる僕の影を見つけた



影は光があるからこそ存在するのだと

誰かが歌っていたのを思い出した



悔しくて

今は暗闇に染まる

遠く夜の向こう側の空を睨んだ



また空が光った



憎いほどに

夜の向こう側の空が明るかった



ただ、それだけだった








  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る