雨になれるなら
夜に身を預けた部屋の中が海だとするならば
砂に埋もれて息だけをしている僕はあまりにも死そのもののようで
息を潜めて隠れるように心の底に押しやった夢と語られていた彼は
今では生きていたことなど忘れ去られた化石のようなもので
重力に逆らえず上りきれないでいる時計の秒針の音があまりにも煩くて
耳を塞いで目を閉じてみてもこれまでの日々が消えるなんて事はなくて
生きる理由なんて今ではもう月との距離くらい遠い話で
生きなくていい理由なんてもはや僕そのもののようで
その時が来るのをひたすら待つだけの日々はあまりにも静謐で
相変わらず降り続けている雨だけが何よりも確かに生きているように見えた
僕はもう雨になってしまいたかった
ただそれだけだった
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