第四宵 再び向き合え、自分の___へ
学校が始まって何気なくあの子の様子を伺っていた。
24時間ずっと見ていた訳ではないけど、見た限りでは特に怪しい点や行動はなかった。
平行して猿夢の事を調べて見るが打開策は見当たらず、あれよこれよと言う間に一ヶ月が立とうとしていた。
如月さんからの連絡もまだない。
思わずため息が漏れる。
「ため息なんかついて、幸せが逃げるぞ。」
「あー、ごめん。」
「いや、謝られても俺には何もすることは出来ねえよ?それよりお前にお客様だ。」
友達が指差した方向を見ると、あの女の子が。
何も見つかってない、何て言えるわけがない。
無視するわけにも行かないので重い足取りでその子の元へ向かう。
「行こうか?」
そう言って、前に相談に乗った場所に向かった。
「あれから何か見つかりました?」
「ごめん、何も・・・」
「そうですか。貴方なら解決してくれるかなと思ったんですけど・・・」
「ごめん、本当。でも、僕に相談したらいいって誰に聞いたの?僕、そんな特別な事した覚えがないんだけど・・・」
「・・・私を誘拐しようとしてきた人が、言ったんです。『大空 樹は敵だ。でも君なら』って何の事だか分からなかったんですが、取り合えず大空さんに言ったら何とかなるのではと。」
そうか、と返答しようとした時、地面が揺れと共に大きな音が鳴り響く。
立っていられないような激しい揺れに近くにあった階段の手すりに手を置く。
「ここ、あの汽車の中か?」
そこには手すりはなく、代わりに顔を支えていたと思われる手が窓ガラスの突起に置かれた肘を残し、ダランと力なく垂れ下がっている。
さっきまでの出来事は夢だったのか?
それとも今が夢なのか?
「お目覚めですか、御客様?」
物思いに耽っていた俺に向けられた声だと分り、驚いて左を向く。
そこには背丈的に大学生くらいの青年が俺に笑顔を向けていた。
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