第二宵_______からのお迎え
気づけば俺は長椅子に座っていた。
さっきまで少女の話を聞いてたはずだけど。
周りを取り合えず確認する。
改札に目の前に敷いてあるレール。
「駅か?ここ。」
そういう結論に至り、どうしてこんな所に連れてこられたのかが分からなかった。
よく分からずキョロキョロしていると、汽笛が鳴り響く。
余りの眩しさと風圧に手で目を庇う。
感覚が回復し手を下ろすと、高級そうな列車が。
「大空さん、聞いてます?」
その声にバッと声のした方向へ勢いよく振り向くと、さっきの子が。
少し不機嫌そうな目でこっちを見ていた。
周りはいつも通りの学校だ。
どうやら幻覚を見たらしい。
もしかしたら前の事件で何かに目覚めたのか?
そう思ったが、即座にあり得ないとその可能性を捨てる。
だってさっきまで何もなかったのだから。
何もないよ。
そう言って話の続きを聞く。
風は少しだが強い向かい風が吹いていた。
何処だ、ここ。
ボーッとした意識のなか辺りを見渡す。
少し暑くなった肌に冷たい風が頬を撫でて心地よい。
撫でられながら意識を覚醒させていく。
そしてここは前に来たことあることを悟る。
「ここ・・・さっきの」
あの女の子の話を聞いていたときに幻覚を見たあの場所その物だった。
既に列車が止まっている。
どうしたらいいのだろうかとそのまま何も出来ずに立ち尽くしているとふいに後ろから声をかけられ、振り向く。
其処には駅員の制服を来た10歳ぐらいの子供が満面の笑顔で立っていた。
「まもなく、電車が出発します。その電車に乗るとあなたは恐い目に遇いますよ?心して乗ってくださいね!それでは、よい旅を!」
そう告げ終わると、とん、と凄い力で背中を押された。
バランスを崩し、尻餅を着いたときには、もう列車に乗り込んだ後だった。
乗るつもりはなかったので、外に出ようとするのを拒むように扉がしまる。
「おい、出せよ!」
そう言って手を扉に叩きつけるが扉もその子供もびくともしない。
必死の叫びも空しく、列車は発車してしまった。
駅が見えなくなるまで叫んで、手を叩き付けていたが無意味だと分かり、渋々階段を上る。
電車の中のようで高級に誂えられた銅色を貴重とした其処に顔色の悪そうな性別がバラバラの男女が座っていた。
取り合えず席を離して座る。
座った途端、どっと体が重くなった。
外を見ると、どんよりとした雲が何もかもを覆い薄気味悪い風景が広がっていた。
目を背けるように背中を硝子に向け、目を瞑り意識を少しずつ底に沈めていった。
朝、ベットの上で目が覚めた。
いや、それは当たり前の事なのだが、その時の俺は夢心地でさっきまで電車の中にいたはずなのにとぼやいていた。
でも、電車に乗っていたと言うこと以外思い浮かばない。
ただ、出てきそうで出てこない。
そんな感じだ。
取り合えず体を起こし、近くにあったスマホを乱暴に取り、今覚えていることを検索欄に打ち込んでいく。
候補がずらりと並ぶ。
ふと、とある単語に何故か目が止まり、奪われる。
『猿夢』
「これ・・・なんだよ。」
何気にタップしたそれの内容は酷いもので、その電車に三回乗ると不審死を遂げるとの事。
ふと今起こっている事件の事が頭をよぎった。
段々と靄が晴れていき、理解した後、物凄い浮遊感に襲われた。
もしかして、俺が乗っていたのは・・・
それを無理矢理忘れようとするが必要以上にその記憶の存在を主張してくる。
気を逸らすようにデジタル時計を確認する。
7時30分。
下の枠には土曜日と表記されており、少しだけ嫌悪感が込み上げてくる。
もう一回見てしまった。
後、二回見ると俺はもうこの世にはいない。
そうなると、その間に打開策を高じなければならない。
俺はこの方法しか頭に浮かばない。
縋るようにまたスマホに向き合った。
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