学舎の夢




10年ぶりになるだろうか


訪れた校舎にはあの時と変わらず、多くもなく少なくもない生徒たちが行き交っている



広い階段の端に座り込み雑談を交わす彼女たち

大きなキャンバスを地面に寝かせ覆いかぶさるように作品に手を加えている彼


懐かしいような景色だがもちろん誰も見知った者はいない


私は売店に向かい、これもまたあの頃とは違う売店のおじさんにここの卒業生なのだと告げ、話しながら馴染みのあるクロッキー帳と青い芯が入ったシャーペンを買った。


高安先生も、津田先生ももう居ない

綺麗に細胞を入れ替えた巨大な校舎の中を、かつてここで蠕動していた私が時を遡るように歩く


ロッカーは104番、今は誰かの絵の具と画板でいっぱいだろう


夕日が差し込み廊下を照らす

埃に反射し光線が煌めく



ああ、ここでまぎれもなく

美しい時を過ごしていたのだ






済まない


済まない


済まない










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