第114話 ギリギリの脱出
「アコ、ここは俺に任せて」
「う、うん……」
2人で走って逃げるのは効率が悪いと、ユウタスはアコをお姫様抱っこすると背中の羽を出して飛び始める。そうして自身に出せる最高速で出口を目指した。
次々に崩れていく通路をギリギリで抜けていき、何とか無事閉じた出口にまで辿り着く。ユウタスはそこでアコを降ろして扉を開けようと奮戦した。
「ふんぬー! 開けぇー!」
「ねぇ……あの戦い、私達が手を貸して終わらせた方が良くない?」
「いや、どっちにも加勢してはダメだ。俺達は事情を知らない。成り行きに任すのが一番なんだよ」
「そ、そうかもだけど……」
ユウタスに説得されたアコは、彼と供にドアを開ける事に専念する。押しても引いても、上げようとしても下げようとしても、スライドも試みるも、ドアはびくともしなかった。焦りに焦ったユウタスはその場にへたり込む。
「どうすればいいんだーっ!」
その時、神と悪魔の戦いで生じた爆発が2人を包む。その爆風で奇跡的に2人は大怪我を負う事もなく、遺跡の外に吹き飛ばされたのだった。
「うわああーっ!」
「キャアアーッ!」
落下途中で意識を取り戻したユウタスは、空中で気を失っているアコを回収。そのまま戦線を離脱する。彼は飛び出した勢いを利用して、遺跡から一番離れた海岸へと避難したのだった。
古代の神魔の戦いはその後も激しさを増し、山はえぐれ、池は蒸発。簡単に島の景色を一変させてしまう。遺跡を飛び出した2体の超越者の戦いの影響を受けて、穏やかだった島は地獄絵図に変わっていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます