遭難した2人

第105話 無人島の2人

 青い空、白い砂浜。見渡す限りの水平線を波打ち際で眺めるふたつの人影。体育座りのその2人は、途方に暮れたアコとユウタスだ。この場所にはバカンスで訪れたのだろうか。何故かそこにアレサの姿はない。

 座り込んだ2人の落ち込んだ風な表情から、まともじゃない状況なのはすぐに分かる。


 砂浜には2人以外の人の気配もないようで、この状況から推測すると、どうやらその場所は無人島だと言う事がうかがわれた。

 南の島らしい楽園のような景色も時間と共にその表情を変えていき、やがて水平線の彼方に太陽が沈んでいく。夕暮れの景色が色褪せるに従って無数の星々が天上をキラキラと飾り始め、気がつけば上空は一面の夜の宝石箱。


 特に会話らしい会話もなかった2人は何となく空を見上げ、夜空を流れる一筋の光を偶然見つける。流れ星はこの世界でも奇跡の象徴のひとつとされていて、2人も星が流れた瞬間にあっと小さく声を上げた。


「流れ星、久しぶりだ……」

「私は初めて見たかもです」


 2人共視線を上空に向けたまま、独り言のようにポツリポツリ。一体どうしてこんな事に――。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る